【期 日】
2018年10月14日
【メンバー】
S.A (単独行)
【コースタイム】
駒ノ湯5:55―8:40小倉山9:10―10:55駒ノ小屋11:25―11:48駒ヶ岳山頂12:05―12:20中ノ岳方面との分岐―12:45―12:45グシガハナ―15:45十二平登山口―16:25越後三山森林公園―17:45荒山部落―(タクシー)―浦佐駅
【コメント】
早朝、宿泊の栃尾又温泉から後輩の車で駒ノ湯から登山口へ送ってもらい、登山届をポストに入れ6時前に出発した。(標高は360m)
行動予定は、天候や所要時間次第では駒ノ湯に戻ることも計画書に記入し、小倉山~駒ヶ岳、山頂からはグシガハナ※を通って一気に5.1㌔・
1,500mを下降し~越後三山森林公園~荒山部落までの急峻かつ長丁場のルートとし、全行程予定所要時間を11時間と設定した。
(駒ノ湯~小倉山:コースタイム3時間30分・・所要時間2時間45分)
吊り橋を渡ると、いきなりの急坂である。大先輩から「心筋梗塞には気をつけろ、単独行だと余計に危ないぞ」と心配されていたので、調子が出るまではゆっくりと登ることにした。普段はそういう兆候はないものの、最近の登り始めは胸が苦しい。
天気は上々、風もほとんどない。まもなく右手遥か遠くに越後駒ヶ岳が見えはじめ、周りの黄葉が爽やかである。道は細いがしっかりしていて危ないところもない。
最近は、標高が高く駐車場もあり、距離はあるものの便利な枝折峠からの登山者が圧倒的に多いようであるが、本来の駒ケ岳へのルートは昔からのこの道である。
途中、宿の朝弁当を食べながら順調に高度を上げ、林の中のいくつかの大小の頂きを過ぎ小倉山に到着した。ここからは雄大な駒ヶ岳が近くに見え、登るルートも見当がついた。
標高は1.378mで駒ノ湯から1,000m余を登ったことになり、周りの紅葉も冴えだし、特にナナカマドが見事で写真を撮りまくりながらの大休止とした。
(小倉山~駒ノ小屋:コースタイム2時間30分・・実際※1時間45分)
小倉山から3分ほどで枝折峠~駒ヶ岳へ続く稜線に出た。
紅葉を楽しみながら快調に登っていくと早くも山頂からの登山者が数組降りてきた。話を聞くと枝折峠を4時半に出発して山頂に登り戻ってきたとのこと。また、他のグループは昨晩は駒ノ小屋に泊まってからの下山であった。
山道は急に幅が広くなり整備され、12年前に訪れた時の嫌なぬかるみには板が敷かれ、滑りそうな斜面は角材で階段(平成24年から25年にかけて作られた)となって登り易く、あっという間に駒ノ小屋に到着した。
周りは草紅葉で幾重にも山頂からの尾根が派生し見事である。遠くの山並みには、ここ十数年かけて登ってきた越後の山々、とりわけ守門岳、浅草岳、荒沢岳、中ノ岳が、そして奥只見湖が望めた。
小屋の広場には十数名のツーリズムの団体が点呼を取っていた。
ここで昼食とし、小屋の脇の水道は上部の雪渓がなくなって出ていないので水場まで汲みに行った(3分)。小屋の営業は17日で終わりで、後は梯子を上がって2階から出入りの小屋利用となる。
(駒ノ小屋~駒ヶ岳山頂:コースタイム30分・・実際25分)
小屋からは草紅葉を見ながらのひと登りで山頂である。ちょうど正午、このころから上空に雲が出始め期待した八海山の山頂は雲に隠れ見えなかった。確か前日には八海山の向こう側の阿寺山に会山行で仲間たちが登っていたはずである
(駒が岳山頂~グシガハナ:コースタイム45分・・実際40分)
上空は雲で覆われてきたが、その下の視界は良好なので予定通りのコースを行くことにして山頂を後にした。 途中、単独の中年女性に出会うが、なんと荒沢岳を登り縦走して昨晩は丹後山避難小屋に宿泊し、今朝からは中ノ岳を登り駒ヶ岳を登って明神峠から銀の道を下って、ぐるっと一回り、銀山平まで戻るという凄い人で、思わず「ご立派!!」と声をかけてしまうほどであった。
中ノ岳方面と別れる分岐点からは、クマザサで覆われたいかにも滑りそうな急な道であったが、コンクリートで作られた表面がデコボコの丸棒が階段状に敷かれていて全く問題なくクシガハナ手前まで降りることができた。
中ノ岳までの稜線は見えているものの、次第に上部の雲が厚くなってきた。山道脇から下へ延びるまでの草紅葉、深い谷、そして中ノ岳へ続く稜線から派生する尾根が谷へ落ち込む下部側壁は圧巻で見とれてしまうほどであった。
(グシガハナ~十二平登山口:コースタイム3時間50分・・実際3時間)
グシガハナからの急峻な下りは、ネットで情報をいくつか見てはきたがその通りで、まさに登るも下るも修行のような尾根ルートである。
夏にIさん、Sさんと登った剱岳・源次郎尾根の下部を下降していくような箇所が連続し、最大限の注意と1本のストックワーク、周りの枝やツル、草をつかんでの下降となり、下に着いた頃は腕がパンパン、指の力が抜けた感じであった。 ただ黄・紅葉がますます鮮やかで、それはそれは素晴らしい山行でもあった。
傾斜がなくなり、ほっと一息ついたところで休憩し、腰を下ろしてゼリー状の栄養源をチューチュー吸いながら顔を上げ前方を見ると直線の山道奥に何やら黒いものが?
思わず体をずらし枝葉の陰から見極めようと目を凝らすが、自分が動いたので、黒いものも動いたようなじっとしているような、何やら首のあたりが白く頭と顔にも見える。 瞬間、熊だと思い込み、咄嗟に首からかけていた笛を取り出し思いっきりピーピーと、何回も何回も!!
本物なら動くはずが反応は無し、まさか昼寝じゃないだろうし、ひょっとしたら熊の行き倒れかも? 全体が黒いので人とは思わず、動けばクマと決めつけ、どうしようかと考えをめぐらした。
もと来た道を戻るも急すぎて、その日のうちに帰れないし、それは無理。数日前のニュースで奥多摩で老人が熊と遭遇し怪我をするもストックで追い払ったことを思い出した。
ずーっと動かないので覚悟を決め、一か八かの突進でいこうと決め、ザックを背負いストックの先のゴムを外そうとしたが新品だったため固くて外せない、それでも前方に向けしっかりと握り、大声をあげながらの前進であった。
だんだん近づくも一向に動かず、漸くその正体が見えたり・・・、
なんと木の洞(うら)でした。(写真は、そのあと戻って順番に撮影)。
ヤレヤレ、ほっとしたのか気が抜けたのか、ザックを下ろし一息ついて 水をガブガブ飲み思わず笑ってしまいました。
時間がどんどん経過、ゆっくりしてはおれず、その後は懸命の下山であったが、そうはいかない。さらに悪路が続き木の根っこが地上にでた急で厄介な尾根を下り十二平登山口に到着した。でも、ここからが長い道のりであった。
(十二平登山口~越後三山森林公園~荒山部落:・・実際2時間05分)
十二平登山口手前から雨が降り始めたので、雨具を着て川沿いの道を早足で進むも途中から舗装道路になり足の裏が痛い。
今回はアプローチも岩稜歩きもOKという優れものの軽くて浅い靴を履いてきたが、この長時間行動ではさすがに堪える。
何とかスマホが通じタクシーを呼べるところまでと。あたりが暗くなる頃やっと荒山部落に到着した。
予定はしていたものの、延々11時間50分の行動※となった。タクシーで浦佐駅近くの温泉旅館まで、入浴、ビールを飲んでコンビニでおでんを買って新幹線待ち、無事我が家へたどり着きました。
(説明)
※グシガハナ・・・(グシ=瓦葺屋根の上の台形、ハナ=端)で、そのような形をした頂名。
※所要時間=実際
※越後駒ヶ岳山頂からグシガハナを経由しての下山ルートは急峻であるが、それなりに道はあり迷うことはなく、しかも短時間に降りることができるものの厳しく、登山者も少ないと思われるので単独行と道悪の場合は避けた方がよろしいかと思われる。
※秋は日が短く今回のコースは長丁場なので、できれば駒ノ小屋に泊まっての紅葉登山が最適でしょう。
(S.A記)